会社からのしがらみから解放されたい、と一度は考えたことはあるでしょう。自由に残りの人生を過ごしたいと考えている人もいるかもしれません。
本記事では早期リタイアについて紹介します。
早期リタイアとは何か、資金がいくら必要なのか、メリット・デメリットについて解説します。早期リタイアを考えている人はぜひ参考にしてください。
早期リタイアとは何か
早期リタイアとは、定年前に勤務している会社を辞めて生活を送ることです。FIREについても紹介します。
早期リタイアとは、定年前に退職すること
早期リタイアとは、定年前に退職することをいいます。具体的には、40代、50代の人が退職後の生活に困らないくらいの資金を手にしてリタイアするイメージです。
かつては、入社して定年まで勤務し、定年を迎えて仕事を辞め、老後の生活を送るのが一般的とされていました。
働き方が多様化している現代は、新卒から定年まで勤めあげるといった価値観が崩壊しつつあります。
早期リタイアとFIREとの違い
FIREとは「Financial Independence Retire Early」の略です。「経済的自立による早期リタイア」という意味になります。
早期リタイアとFIREとの相違点は対象年齢です。早期リタイアといわれる人の対象年齢は、定年が見えてくる40代後半から50代が一般的です。退職金やこれまでの蓄財で、退職後の生活を送ることがベースとなっています。
一方、FIREは20代、30代の若い年齢層が多いです。会社より得られる給与だけでなく、投資収入や節約などで生活できるようになってリタイアする人が該当します。
早期リタイアにはいくら必要か?
早期リタイアするには、どれくらいの資金が必要でしょうか。算出方法について説明します。
早期リタイア後の必要資金を算出
早期リタイア後の必要資金の算出方法は、次の順序で算出します。
- 早期リタイア後のライフプランを設計する
- 寿命が何歳かを仮定する
- 早期リタイア後の支出を計算する
- 年金収入額を算出する(公的年金シミュレーターの利用)
- 手持ち資産から資産運用金額を計算する
①早期リタイア後のライフプランを設計する
早期リタイア後のライフプランを設計しましょう。毎月の生活費や、将来受け取る年金の受取額、レジャーやリフォーム、介護費用等の必要となる支出額を事前に貯めておく必要があります。不足分が出た場合、いくら貯めなければならないのか、資産運用はどうすべきなのかも検討しましょう。
②寿命が何歳かを仮定する
2021年の日本人の平均寿命は、厚生労働省の「簡易生命表(令和3年)」では、男性が81.47歳、女性が87.57歳という結果が出ています。平均寿命は、0歳における平均余命をいいます。
平均寿命から、寿命を90歳として考えて問題ないでしょう。
③早期リタイア後の支出を計算する
早期リタイア後の支出を算出します。支出は、日々の生活費(食費・光熱費・衣料費等)以外にも以下のものが考えられます。
- 娯楽費用
- お祝い金
- リフォーム費用
- 入院・治療(手術)費用
- 交際費用
- 介護費用
- 葬儀費用
④年金収入額を算出する(公的年金シミュレーターの利用)
厚生労働省は、将来受給可能な年金額を簡単に試算できる「公的年金シミュレーター」を公開しています。国民年金・厚生年金の期間や年収、受給開始年齢を入力すれば、受給金額が試算可能です。
ただし、公的年金シミュレーター試験運用中なので、受給金額はあくまで概算として捉えるのがいいでしょう。
⑤手持ち資産から資産運用金額を計算する
早期リタイアする年齢から90歳までの支出金額、預貯金等手持ち資産および年金受給時以降の収入を算出します。
不足する場合、いくら不足するのか、不足分をどのようにして増やせばいいのかを考える必要があります。無理のない資産運用を心がけましょう。
早期リタイアを成功させるには?
早期リタイアを成功させるためには、次の3点を考える必要があります。
- 生活設計を具体的にする
- 支出を抑える
- 資産運用の手法を身につける
生活設計を具体的にする
早期リタイアを成功するには、現在の生活をもとに、生活設計を具体的にすることが重要です。リタイア後の生活のイベント等を列記し、いくら収入があるのか、いくら支出が必要なのかを把握しなければなりません。収支に見合った生活を心がけましょう。
支出を抑える
早期リタイア前後での、毎月必要な出費を把握し、それ以外はできる限り支出を抑えるように生活しましょう。想定外の出費が発生するケースもあるため、考えている以上に出費はかさみます。毎月必要な出費以外の支出はできる限り抑えて生活するのがいいでしょう。
資産運用の手法を身につける
資産運用手法を身につけることは早期リタイアにはとても重要です。
リタイア時に保有する資産は運用しないと目減りします。
資産運用手法を身につけることで、目減りを抑えられ、リタイア後の生活資金および気持ちに余裕が生まれるでしょう。
早期リタイアのメリット・デメリットは?
早期リタイアを行った場合、メリット・デメリットにはどのような点があるのでしょうか。
メリット
早期リタイアのメリットとして、以下の3点があります。
- 仕事上におけるしがらみから解放される
- フリータイムが満喫できる
- 趣味や新しいことにチャレンジできる
仕事上におけるしがらみから解放される
仕事上におけるしがらみから解放されることは早期リタイアのメリットです。
解放されることで、ストレスフリーの生活が送れます。会社員時代は会社内や取引先等、さまざまな人間関係に神経をすり減らすことがあるでしょう。仕事上の人間関係から解放され、ストレスフリーな生活を送れるというメリットもあります。
フリータイムが満喫できる
フリータイムが満喫できることも早期リタイアで得られるメリットです。勤務する会社から給料を得ているので、従業員は会社の規則に従う必要があります。就業時間に仕事を開始しなければなりません。残業もあるかもしれません。
早期リタイアすれば、今まで縛られることなくフリーな時間を手にできます。
趣味や新しいことにチャレンジできる
早期リタイアで、趣味や新しいことにチャレンジできることもメリットの一つといえます。フリータイムを手にすることで、会社員時代に時間をかけたかった趣味への没頭が可能です。新しいことにも挑戦できるので、人間としての幅が広がり、周りとのつながりもできます。早期リタイアから発生する孤独感からも解消できるでしょう。
デメリット
早期リタイアのデメリットとしては、次の3点があるので紹介します。
- 計画性がないと後悔する恐れがある
- 資金が底をつくリスクがある
- 再就職が厳しくなる
計画性がないと後悔する恐れがある
退職後の計画性がなく早期リタイアを行うと、後悔する恐れがあるので注意する必要があります。退職すれば、今まで仕事で関わってきた人たちとの付き合いはほとんどなくなるでしょう。収入も会社を辞めれば限定的になり、経済的にも不安に感じるかもしれません。
ただ漠然と自由を求めて早期リタイアを行うと、思い描いていたものと違い、早期リタイアをするべきでなかった、と後悔するかもしれません。
資金が底をつくリスクがある
貯金が減っていき、資金が底をつくリスクがある点をデメリットとして覚えておく必要があります。通常、早期リタイアは退職直後から貯金を切り崩していくので、資金は減っていきます。リタイア後に収入があれば、収支バランスを考えて計画性を持って、できる限り節約した生活を心がけるのが重要です。
再就職が厳しくなる
退職後、ブランクが長くなると、再就職が厳しいことも肝に銘じて置く必要があるでしょう。「即戦力」を求める企業がほとんどで、ブランクある人の採用は厳しくなる恐れがあります。専門的なスキルや過去の経験を生かして再就職を考える場合、早期リタイア後も、経験やスキルを陳腐化させないように努めなければなりません。
早期リタイアまとめ
早期リタイアとは、定年前に退職することをいいます。早期リタイア成功するには、リタイア後のライフプランを設計しなければなりません。今後の生活に発生しうる支出を計算し、同時に預貯金およびリタイア後に給付される年金受給額を算出します。不足分があれば、運用方法を検討しましょう。
早期リタイアは、仕事から解放されストレスフリーとなる反面、計画性がないと後悔したり、資金が底をついたりする恐れもあります。
早期リタイア後の生活を十分考え、悔いのない人生を送りましょう。