新NISAの概要とは?特徴や変更点を現行と比較し解説

2024年から、NISAが装いを一新します。NISAとは投資に関しての税制優遇です。令和4年12月16日において政府が発表した「令和5年度税制改正大綱」により非課税枠の拡充が明記されました。本記事では、新NISAの概要や特徴、現行のNISAとの相違点、新NISA利用にあたって注意するポイントについて解説します。新しいNISAに関心のある人や、これから投資を検討されている人の参考になれば幸いです。

目次

新NISAの概要

2024年よりNISAの制度が大幅に変更されます。主なポイントは次の4点です。

  • 非課税保有期間の無期限化
  • 口座開設期間の恒久化
  • 年間投資枠の拡大
  • つみたて投資枠、および成長投資枠の併用が可能

【新NISAの概要】

つみたて投資枠成長投資枠
年間投資枠120万円 240万円
 非課税保有期間 無期限化 無期限化
 非課税保有限度額(総枠) 1,800万円(内1,200万円は成長投資枠)  
口座開設期間 恒久化
 投資対象商品 長期の積立および分散投資 に適した一定の投資信託 上場株式 投資信託等
対象年齢18歳以上
 現行制度との関係2023年末までに現行の一般 NISA 及び積立 NISA 制度において投資した商品において、新しい制度の外枠として現行制度における非課税措置を適用 (現行制度から新しい制度へのロールオーバーは不可)

(引用:金融庁「新しいNISA」より筆者作成)

現行のNISAとの比較

現在のNISAには、「つみたてNISA」「一般NISA」があります。現行のNISAについての概要をおさらいし、新NISAの特徴について、現行NISAと比較し紹介します。

現行NISAの概要および特徴

【現行NISAの概要】

比較項目つみたてNISA一般NISA
年間投資枠40万円 120万円
非課税保有期間 20年間 5年間
非課税保有限度額 800万円600万円
口座開設期間2023年まで2023年まで
投資対象商品 長期の積立および分散投資 に適した一定の投資信託 上場株式・投資信託等
対象年齢18歳以上

(引用:金融庁「新しいNISA」より筆者作成)

特徴として、以下の点があります。

  • つみたてNISAと一般NISAとの併用ができません
  • 年間投資枠があらかじめ決められている
  • 口座開設期間が決められている

新NISAの特徴

新NISAの特徴として主に次の5点があります。それぞれ現行NISAと比較して紹介します。

  • つみたて投資枠および成長投資枠の併用が可能
  • 口座開設期間の恒久化
  • 年間投資可能額の拡大
  • 非課税保有限度額(総枠)の拡大
  • 売却時の限度額再利用

つみたて投資枠および成長投資枠の併用が可能

現在のNISAでは、「一般NISA」と「つみたてNISA」との併用ができませんでした。新NISAにおいて、「成長投資枠」「つみたて投資枠」の併用が可能となります。

現行では、どちらか一方を選択する必要があったのですが、併用が可能になることで、各投資家の資産やライフスタイルに応じて投資の幅が広がります。

口座開設期間の恒久化

口座開設期間の無期限化(恒常化)も新NISAの特徴の一つです。

投資家は口座の開設期限がなくなるため、いつからでも最大限の非課税の恩恵を受けられるようになります。

現行NISAの口座開設期間は当初、一般NISAは2028年まで、つみたてNISAは2042年までとなっていました。2024年に新NISAが開始するため、現在では一般NISA、つみたてNISAともに2023年までとなっています。

年間投資可能額の拡大

年間投資可能額は、成長投資枠が240万円、つみたて投資枠が120万円と拡大します。また先述の通り、成長投資枠とつみたて投資枠が併用できるため、最大360万円の投資が可能となります。

現行の年間投資可能額は、一般NISAは120万円、つみたてNISAは40万円です。併用できないため、年間最大120万円の投資可能額となっています。新制度で年間最大3倍の投資が可能です。

非課税保有限度額(総枠)の拡大

新制度の特徴として、非課税保有限度額の拡大があります。

成長投資枠、つみたて投資枠合わせて1,800万円(内、成長投資枠は1,200万円)にまで拡大しています。

現行NISAでは、一般NISAは600万円、つみたてNISAは800万円です。併用不可であるため投資家が享受できる非課税保有限度額は最大800万円です。新NISA制度により、1,000万円以上の非課税限度額が拡大されます。

売却時の限度額再利用

現行NISAは、保有している商品を売却した場合、非課税枠の再利用ができません。新NISAになると、売却しても非課税限度額の再利用が可能です。売却後新たな商品を購入する場合、非課税保有限度額の範囲内であれば、非課税にて運用が可能です。新NISAでは効率いい資産運用が見込まれるでしょう。

引用元:金融庁

新NISAの注意点は?

新NISAは、非課税の拡大や期間の恒久化等、投資家にとってメリットが大きい制度ですが、注意を要する点もあります。

  • 現行NISA運用分を新NISAへのロールオーバーは不可
  • 新NISAで投資可能な商品には条件が存在する

それぞれ説明します。

現行NISA運用分を新NISAへのロールオーバーは不可

現行のNISAで運用している上場株式や投資信託を、新NISAに引き継いで運用(ロールオーバー)することはできません。現行NISAと新NISAとは異なる制度であるため、投資家は分離して考える必要があります。

そのため、現行NISAで運用している資産を新NISAであらためて運用する場合、一旦売却して再度新NISAとして運用しなければなりません。

新NISAで投資できる商品には条件が存在する

現行NISAにおいて、投資可能な商品に条件が存在する点にも注意する必要があります。

新NISAの「つみたて投資枠」は現行NISAの「つみたてNISA」と同じ商品での運用が可能です。

一方、新NISAの「成長投資枠」において、株式・投資信託・ETFのうち整理・管理銘柄が対象商品から除外されるのはもちろんのこと、投資信託について運用できない商品が追加されたので注意しましょう。

追加された運用できない商品の条件は以下の通りです。

  • 信託期間が20年未満
  • 高レバレッジ型等のデリバティブ(金融派生商品)を特定の目的以外で利用するもの
  • 毎月分配型

引用元:金融庁

改めて新旧NISAの変更点について

変更点を表にまとめました。

【現行NISAと新NISAの変更点】

変更項目現行NISA新NISA
併用の可否「つみたてNISA]「一般NISA」の併用は不可「つみたて投資枠」「成長投資枠 」の併用が可能  
口座開設期間一般NISA:2028年まで つみたてNISA:2042年まで恒久化
非課税運用期間一般NISA:最大5年間 つみたてNISA:最大20年間無期限化
年間投資枠一般NISA:120万円 つみたてNISA:40万円成長投資枠:240万円 つみたて投資枠:120万円 併用が可能なため、最大360万円  
非課税保有限度額一般NISA:年間120万円×5年間=600万円 120万円 つみたてNISA:年間40万円×20年間=800万円  1,800万円 (内成長投資枠  1,200万円)
売却時の非課税限度額再利用不可可能

(引用:金融庁「新しいNISA」より筆者作成)

(注)現行NISAの口座開設期間は、新NISA制度開始に伴い、2023年までになる見通しです。

引用元:金融庁

新NISAまとめ

新NISAは2024年より導入される制度です。主な変更点として以下の点があります。

  • 非課税保有期間の無期限化
  • 口座開設期間の恒久化
  • 年間投資枠の拡大
  • つみたて投資枠、および成長投資枠の併用が可能

また、売却時の限度額再利用が可能な点も魅力的ではないでしょうか。注意点として、現行NISAで保有している商品を新NISAにロールオーバーはできないので注意が必要です。新NISAを有効に活用し、上手に資産を育てていきましょう。


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