人生100年時代といわれるようになり、リタイア後における老後資金は関心の的となるのではないでしょうか。中でも、老後資金はいくら必要なのかについて関心度は高いといえそうです。実際、老後資金にはいくらあればいいのでしょうか。
本記事では、老後資金について解説します。老後資金はいくら必要なのか、老後資金を貯めるのにおすすめな金融商品は何か、老後資金を考えるにあたっての認識すべき点について紹介します。老後資金について、関心がある人はぜひ参考にしてください。
老後資金の目安の金額は?
老後資金は、退職後、給与の収入がなくなり、年金や預貯金等で生活をスタートする時期に必要な資金をいいます。総務省の「家計調査」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、可処分所得より支出が金額の大きい結果が示されています。
ここでは、老後資金の家計収支の現状を紹介し、データをもとに、老後資金はどれだけ必要なのかを検証します。
そもそも老後資金とは?
老後資金とは、通常定年を迎えて給与などの収入がなくなった状態で、主に公的年金および預貯金で生活をスタートする時期に必要な資金のことです。生活するために必要な食費や住居費などの生活費や、レジャーや趣味のための費用などもすべて含みます。
老後資金の家計収支の現状
総務省の「家計調査」(2021年)には、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の月当たりの平均データが示されています。実収入は236,576円、可処分所得は205,911円で、支出は、224,436円であり、可処分所得より支出の方が18,525円多い状況です。毎月1万8,000円余り、年換算で約22万円不足となる結果となっています。
(出典:総務省「家計調査」(2021年))
老後資金はどれだけ必要なのか
老後資金はどれだけ必要でしょうか。前述の「家計調査」結果から計算してみましょう。
老後期間は25年
2021年の日本人の平均寿命は、厚生労働省の「簡易生命表(令和3年)」によると、男性が81.47歳、女性が87.57歳です。おおむね90歳までを寿命として考えると、老後を65歳からと仮定すれば、25年間と考えておく必要があるでしょう。
老後資金に必要な費用とは?
老後資金は、食費や光熱費、衣料代等日々の生活に必要な生活費以外にも以下のさまざまな費用が必要です。
- 娯楽費用
- お祝い金
- リフォーム費用
- 入院・治療(手術)費用
- 交際費用
- 介護費用
- 葬儀費用
介護費用や葬儀費用等、毎月支出されない費用も含まれているため、余裕をもった老後資金を準備する必要があるでしょう。
老後の収入財源および不足金額
老後の収入財源として以下の3つがあります。
- 退職金
- 年金
- 預貯金、個人年金等
「家計調査」のデータから、支出分をカバーするには、年金以外の収入約2万円、毎月の不足分約1万8,000円の合計3万8,000円ほど必要です。
90歳までの不足する金額は以下のように算出できます。
3万8,000円×12ヶ月×25年=1,140万円
家計調査では、年金(社会保険給付)を21万6,000円ほどで計算しているので、年金受給金額が不足する場合は、差額を加えて必要資金を計算する必要があります。
老後資金を貯めるのにおすすめな金融商品
老後資金を貯めるのは通常、金融商品で運用します。
おすすめな金融商品として次の4つがあるので、それぞれ紹介しましょう。
- つみたてNISA
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
- 個人年金保険
- 財形年金貯蓄
おすすめ金融商品①:つみたてNISA
つみたてNISAとは、2018年1月よりスタートした、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。年間40万円まで非課税で投資可能で、最大20年間、投資額が800万円を上限に非課税で投資できます。
投資できる銘柄は、公募株式投資信託および上場株式投資信託(ETF)に限定されています。
おすすめ金融商品②:iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoとは、公的年金にプラスして給付の受け取りが可能な私的年金制度の一つです。
特徴として、自分で掛金の拠出額や運用方法を決められる点や、掛金が所得控除や税額控除の対象になる点があります。iDeCoは、通常60歳まで引き出しできないため、老後の資産形成に適した金融商品といえるでしょう。
おすすめ金融商品③個人年金保険
個人年金保険とは、自分で保険料を払い込み、将来一定期間にわたって年金として受け取れる私的年金の一つです。個人年金保険に加入することで、将来において、公的年金に加え資金を計画的に準備できます。個人年金保険は保険会社によってさまざまな種類があります。ライフスタイルに応じた個人年金保険を選択するのが重要でしょう。
おすすめ金融商品④:財形年金貯蓄
財形年金貯蓄とは、55歳未満の勤労者が、5年以上給与から一定額を天引きして、老後の資金作りを目的とした積立貯蓄です。財形年金貯蓄の特徴として、掛金が所得控除の対象であることや、金利が一般の定期預金よりも有利になる点があります。
受け取りが60歳以降で5年以上の期間にわたる点や、途中解約すると、今までの所得控除分が課税されますので注意しましょう。
老後資金について認識すべき3点
老後資金について認識すべき点として3点ありますので紹介します。
- 退職後の生活にいくら必要かを認識
- 退職金や年金の受取額の認識
- 金融商品の特徴を認識
退職後の生活にいくら必要か
退職後の生活にいくら必要なのかを認識することは、とても重要です。世帯や生活形態によってさまざまなので、正解がないからです。世帯の構成や収入・支出などの条件によって異なります。
退職後の生活にいくら必要なのかを計算するポイントとして、以下の点が上げられます。
- 具体的に退職後の生活をイメージする
- 老後の生活設計を立てる
- 現状の支出を把握する
先述のように、老後の生活にどれくらい必要なのかは、どのような生活をしたいのかによっても大きく異なります。老後をイメージすることで、生活設計を描き、現状の支出の状況を把握することで、具体的に老後の生活費を算出しやすくなるでしょう。
退職金や年金の受取額
老後においての収入源である、退職金および年金の受取額を認識することは重要です。
収入を認識することで、老後の生活設計が立てやすくなります。
年金については、年金定期便・ねんきんネットを利用することで、入金額をある程度把握可能です。その他、iDeCoや個人年金等、公的年金以外の収入がある場合も、老後資金の収入源として計算しましょう。
金融商品の特徴
老後資金を形成するには、金融商品の特徴を認識することも重要です。金融商品には、元本割れするリスクがあるので、分散投資することでリスクをヘッジすることが大切です。株式投資やFX(外国金証拠金取引)のようなリスクの高い金融商品に投資する場合、急激な値動きにより、資金を一瞬にして失う恐れもあります。
大切な老後資金を運用するには、金融商品の特徴を認識し、分散した投資を心がけましょう。
老後資金まとめ
老後資金とは、退職後、給与の収入がなくなり、年金や預貯金等で始めるために必要な資金です。総務省の「家計調査」(2021年)によると、老後の家計の収支は赤字となるデータがあり、年金以外の収入や資金の運用を行う必要があります。
老後資金を貯めるには金融商品で運用することをおすすめします。主な金融商品として以下のものがあります。
- つみたてNISA
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
- 個人年金保険
- 財形年金貯蓄
老後資金について、次のことを認識する必要があります。
- 具体的に退職後の生活をイメージする
- 老後の生活設計を立てる
- 現状の支出を把握する
ゆとりのある老後を送れるよう、老後の生活をイメージし、日ごろから計画的に老後資金の形成に努めましょう。