株主資本等変動計算書とは、会社が利益を何に使ったかを示す決算書です。貸借対照表の「純資産の部」のみにフォーカスして、その変動状況を詳しく表したものであり、株主に配当金をいくら支払ったのか、任意積立金をいくらにしたのかなど、会社の純資産が1年間にどういった理由でどれだけ変動したのかが分かります。株主資本等変動計算書は、英語で「Statement of Shareholders’ Equity(S/S)」と呼ばれます。
株主資本等変動計算書を見ると分かること
会社法の施行によって、株主総会や取締役会の決議があれば、会社はいつでも剰余金を配当できるようになりました。このように、純資産の変動要因が多様化したことで、貸借対照表や損益計算書のみでは、資本金や剰余金の変動の流れを把握するのが難しくなりました。そのため、事業年度中に純資産の変動を適切に把握できるよう、新たに株主資本等変動計算書が財務諸表に加えられたのです。
全ての会社で株主資本等変動計算書を作る義務がある
株主資本等変動計算書は、2006年の会社法施行に伴って作成することが求められるようになりました。すべての会社に作成義務があります。
株主資本等変動計算書の項目は記載方法が異なる
株主資本等変動計算書に記載する項目は、純資産の部のすべての項目です。つまり、「株主資本」「評価・換算差額等」「新株予約権」「少数株主持分(連結株主資本等変動計算書においてのみ作成)」の4つに分けて記載します。ただし、株主資本とその他の項目とでは記載方法が異なります。
株主資本
株主資本に含まれる「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」「自己株式」の各項目は、前期末残高、当期変動額、当期末残高に区分します。このうち当期変動額は、変動事由ごとにその金額を記載します。
株主資本に変動を及ぼす主な事象としては、当期純利益、新株発行、配当、利益準備金の積立、自己株式の処分などが挙げられます。
株主資本以外の項目
株主資本以外の項目(評価・換算差額等、新株予約権、少数株主持分)も、前期末残高、当期変動額、当期末残高に区分します。ただし、当期変動額は変動事由ごとに記載する必要はなく、純額で記載すればよいとされています。
株主資本等変動計算書まとめ
- 株主資本等変動計算書とは、会社が利益を何に使ったかを示す財務諸表である。
- 株主資本等変動計算書には、純資産の部の4項目(株主資本、評価・換算差額等、新株予約権、少数株主持分)に分けて記載する。
- 株主資本等変動計算書を見れば、純資産の部の各項目が、どのような理由でいくら変動したのかを詳細に把握できる。