債務超過とは何か?解消方法と予防策、倒産との関係について解説

債務超過とは、会社の資産をすべて売却しても負債を返済できなくなる状態のことです。貸借対照表で表現すると、負債の部の合計額が、資産の部の合計額を上回ってしまう状態と言えます。今回は、債務超過の意味と解消方法について解説します。

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債務超過=倒産ではない

債務超過になると、資産をすべて売却しても、負債の返済には足りなくなります。そう聞くと、債務超過になったらすぐに倒産してしまうのではないか、と考える方もいるでしょう。たしかに、債務超過になれば倒産する可能性は高まりますが、債務超過になった途端に倒産するわけではありません。実際に、たとえば借入金の返済ができなくなり、銀行から預金を差し押さえられてしまって…といった段階を踏んでの倒産になります。

赤字が続くと債務超過になる

赤字と債務超過の関係についても解説します。結論から書くと、赤字決算でも債務超過になるとは限りません。もちろん、累積した利益を吹き飛ばすような大赤字を出してしまえば、単年の赤字だけで債務超過になる可能性もあります。

債務超過の解消方法

債務超過の状態を解消するには、「債務の株式化」と「慢性的に赤字が出る経営からの脱却」の方法があります。

債務を株式化する(DES:デッドエクイティスワップ)

債務超過を解消するために負債を減らす方法には「債務の株式化」と呼ばれる手法があります。英語では、DES(デッドエクイティスワップ)と呼ばれる仕組みです。役員借入金についても株式化できます。DESを利用すると、以下のようになります。

  • 債務者が、債権者から新たに金銭出資してもらった資金で、債権者に対する債務を弁済する
  • 債務者が、債権者に対する既存の債務を資本に振り替えてもらう(債権者から株主になってもらう)

なお、金銭出資してもらうにあたっては、企業の支配権を考慮する必要があります。債務者の支配権が強くなる懸念があれば、議決権がない株式を発行するといった方法もありますので、税理士などの専門家に相談してみましょう。

資産を売却した資金で負債を返済する

厳密に言うと、この方法で債務超過を解消はできません。資産を売却して負債を返済しても、同じだけ資産と負債が減るため、債務超過した状態のままになります。この解消法は、債務超過している超過額を減らしたり、目前に迫った借入金の返済をすることで倒産を回避することが可能です。たとえば、稼働していない設備などの遊休資産を売却したり、ファクタリング会社に売掛金を譲渡するといった方法があります。

利益が出る体質に変化させる

よほど大幅な赤字でないかぎり、単年の決算が赤字だったぐらいでは債務超過にはなりません。赤字が慢性的になると、累積の赤字が蓄積した利益を食いつぶしてしまい、債務超過になる危険性が高まります。そういった状態に陥ってしまったら、経常的に利益が出る経営体制に変化させなければなりません。無駄な販管費を削るのは、短期間で取り組むことも可能だと思います。一方、売上を増やしたり、原価率を下げるための対策は一朝一夕にできることではないため、中長期的に取り組む対策となります。

債務超過の予防策

気づかないうちに債務超過になってしまった…ということが無いように、普段から予防しておくことが大切です。そのために確認すべきポイントを紹介します。

その赤字は一時的なものか

決算を組んだら赤字だった、ということは中小企業であれば良くあることです。かつてのリーマンショックのような外部環境の変化で、やむを得ず赤字になってしまうこともあります。重要なのは、その赤字が一時的に出たものなのか、慢性的な性質の赤字なのかを見極めることです。慢性的なのであれば、今後も赤字が続いて債務超過になる危険性があります。既存のビジネスだけでは解決できない場合は、ビジネスモデルを変えるなどの抜本的な解決策が必要な場合もあります。

自社は財務的に健全なのか

決算書の数字を見れば、四則演算だけで自分の会社の安全性を計算できます。財務分析と聞くと難しい内容を想像する方もいるかもしれませんが、実際は非常に簡単です。たとえば、短期的な安全性の指標である「流動比率」は、流動資産の金額を流動負債の金額で割って、100をかけるだけです。業種にもよりますが、その数値が120%を超えていたら短期的には健全だと考えられます。安全性の指標には短期と長期があるため、両方とも確認しておきましょう。

債務超過とファクタリングの関係

債務超過になってもすぐには倒産しませんが、早めに解消すべきなのは間違いありません。その方法をいくつか紹介しましたが、皆さんは「ファクタリング」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ファクタリングとは、売掛金を売却して資金調達する手法です。上記の解消策で言うところの「資産を売却して借入金の返済にあてる」に含まれます。債務超過、税金滞納、ブラックでも利用できますので、ぜひ検討してみてください。

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