ROE(自己資本利益率)とは~計算式、目安、改善方法について~

ROE(自己資本利益率)とは、自己資本(純資産)を活用して、どれだけ利益を生み出したのかを表す収益性の経営指標です。自己資本を主に構成するのは資本金などの株主資本のため、ROEは株主の目線企業を評価する指標として主に用いられます。今回は、ROE(自己資本利益率)の計算方法、目安、改善方法について簡単に解説します。

目次

ROE(自己資本利益率)の計算式

ROE(自己資本利益率)を計算する数式は以下のとおりです。

ROE(%)=当期純利益÷自己資本✕100

当期純利益とは、損益計算書に法人税等を支払った後の最終利益のことです。自己資本とは、貸借対照表の純資産の部の合計のことで、資本金や利益剰余金などが含まれます。

ROE(自己資本利益率)の目安

ROE(自己資本利益率)の目安は、他の経営指標と同じく、業界や企業規模などによって異なります。一般的には、ROEが10.0%以上であれば優良企業と見なされます。なお、経済産業省によると、TOPIX500の構成企業のうち402社で調査した結果、ROEの平均値は9.4%でした。※調査の対象外になったのは、金融業や継続調査が難しい企業

ROE(自己資本利益率)がマイナスになる場合

ROE(自己資本利益率)がマイナスになるのは、当期純利益が赤字、つまり当期純損失だった場合か、自己資本がマイナスになっている債務超過の場合のいずれかです。当期純損失かつ債務超過だと、ROEがプラスの値になりますので、ROEを分析するときには、分母と分子の値も確認するようにしましょう。

ROE(自己資本利益率)の改善方法

ROE(自己資本利益率)に課題がある企業が、数値を上昇させたいと考えているとします。その場合に、どのような方策があるのかを考えてみましょう。指標を増減させたい場合には、計算式に立ち戻って考えるのが最善です。

ROE(自己資本利益率)=当期純利益÷自己資本✕100

上記の計算式を見ると分かるとおり、ROEを上昇させるには「当期純利益を増やす」か「自己資本を減らす」という観点があります。

ROEの値を上昇させるために自己資本を減らす手段には「有償減資」や「自社株買い」があります。有償減資とは、株主へ出資金を配当する減資の方法です。自社株買いとは、株式市場で流通している自社株を会社が買い戻すことです。買戻した株式は「自己株式」や「金庫株」と呼ばれ、貸借対照表の純資産の部では「自己株式」がマイナスで計上されます。上場企業でなければ有償減資をする方法が考えられますが、自己資本を減少させることで中長期的な健全性を損なう可能性があるため、よく検討しましょう。

前述のとおり、財務上の安全性の懸念から、中小企業がROEの改善するには当期純利益を増やすことを考えた方が良いかもしれません。

ROE(自己資本利益率)とROAの違い

ROE(自己資本利益率)と似た指標で、ROA(総資本利益率、総資産利益率)があります。両社とも計算式の分子が「当期純利益」であることは同じですが、ROEの分母は「自己資本」で、ROAの分母には「総資産(総資本)」が用いられます。ROAは、貸借対照表の総資産を活用して効率的に利益を生み出しているかを表す経営指標です。

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