医療ファクタリングとは、診療報酬、介護報酬、調剤報酬の債権(一般企業で言うところの売掛金)を対象としたファクタリングで、それらの報酬をファクタリング会社に譲渡して、早期に資金調達する手法です。3つの報酬はいずれも、国保や社保へ請求してから入金まで約2月ほどかかるのを短縮できるのが最大のメリットです。今回の記事では、医療ファクタリングについて解説します。
医療ファクタリングは3種類ある
医療ファクタリングは、病院やクリニックなどの医療機関向けの「診療報酬ファクタリング」、介護事業者向けの「介護報酬ファクタリング」、調剤薬局向けの「調剤報酬ファクタリング」の3つに分かれます。分かれてはいますが、仕組みは基本的に同じです。社会保険診療報酬支払基金(社保)や国民健康保険団体連合会(国保)に対する債権を、ファクタリング会社に譲渡(売却)して資金調達します。
診療報酬ファクタリングとは
診療報酬ファクタリングとは、病院やクリニックなどの医療機関が社保や国保に対して保有している診療報酬債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、早期に資金調達する仕組みです。
介護報酬ファクタリングとは
介護報酬ファクタリングとは、介護サービス事業者が国保に対して保有している介護報酬債権をファクタリング会社に売却し、スピーディーに現金化する手法です。
調剤報酬ファクタリングとは
調剤報酬ファクタリングとは、調剤薬局が社保や国保に対して保有している調剤報酬債権をファクタリング会社に譲渡し、素早く現金を手にする手段です。
医療ファクタリングの利用の流れ
医療ファクタリングを利用する際の手順を、医療ファクタリングの仕組みのイメージ図を使って説明します。ここでは、医療機関の診療報酬を例に挙げますが、調剤報酬や介護報酬も同様の仕組みです。なお、状況によっては手順の順番が前後することもありますので、あくまで参考程度に読んでください。
- 医療機関とファクタリング会社との間で債権譲渡契約を交わして、診療報酬を売却します。
- 医療機関から社保や国保へ債権譲渡について通知をして、診療報酬を請求します。
- ファクタリング会社から医療機関へ、売却代金の一部分(掛け目による)が支払われます。
- 社保や国保からファクタリング会社へ、診療報酬が振り込まれます。
- ファクタリング会社から医療機関へ、売却代金の残りが入金されます。
医療ファクタリングが必要な理由
診療報酬、介護報酬、調剤報酬はいずれも、国保や社保から支払いがあるまで2ヶ月ほどかかります。前月分のレセプトを当月10日までに国保や社保へ送付して請求すると、その翌月20日以降(20日から25日の間)に入金があります。たとえば、7月分の報酬を8月10日に請求すると、9月20日に入金があるイメージです(実際に2021年の場合、医療報酬と調剤報酬の入金日は9月22日、介護報酬は9月24日が入金日)。このように報酬の入金サイクルが長いため、医療機関、介護サービス事業者、調剤薬局は運転資金の資金繰りが苦しくなりがち。そういった理由から資金調達のニーズが高く、その手段の1つとして医療ファクタリングが利用されるようになっています。
医療ファクタリングのメリット
医療ファクタリングは、一般事業者向けの「3社間ファクタリング」と同じ仕組みになっています。ただし、医療ファクタリングであるがゆえのメリットもありますので、紹介します。
手数料が安い
医療ファクタリングは3者間ファクタリングのため、2者間ファクタリングよりも手数料が低くなるのは当然のことです。さらに、医療ファクタリングの場合は取引先が国保や社保であるため、ファクタリング会社から見れば債権が未回収になるリスクが非常に低く、その分だけ手数料を安くおさえられます。
審査でNGが出にくい
医療ファクタリングの場合は、取引先が国であるため、審査落ちする可能性が低くなります。社保や国保の信用リスクが倒産することは考えにくく、信用リスクが低いためです。
債権譲渡を通知されても問題ない
3者間ファクタリングの最大のデメリットは、取引先に債権譲渡の通知がされてしまい、そのせいで取引先からの信用が落ちてしまう懸念がある点です。しかし、医療ファクタリングの場合は取引先が国(国保や社保)であるため、ファクタリングの利用を知られても問題がありません。
医療ファクタリングのデメリット
医療ファクタリングには、一般の事業者向けファクタリングにはないデメリットもあります。利用期間の制約と、違約金の発生です。
ファクタリングの利用期間に縛りがある
一般の事業者向けファクタリングの場合は、都度都度で利用することが可能です。しかし医療ファクタリングの場合、3ヶ月、6ヶ月、1年、長いと2年といった契約期間が設けられていることが多くなります。今月だけファクタリングを使いたい、ということが難しいのが医療ファクタリングの特徴です。また、契約期間中に途中解約した場合に、違約金を請求されるサービスも存在します。契約前に必ず確認しましょう。
取り扱うファクタリングが少ない
一般の事業者向けファクタリングに比べると、医療ファクタリングに対応している会社は少ないため、選択肢が少なくなります。その点について弱みにつけこんで、高額な手数料を請求する業者も存在しますので、必ず複数のファクタリング会社に相談して、相見積もりをとるようにしましょう。
ファクタリングに依存しやすい
利用期間の縛りが長期になる医療ファクタリングを契約した場合、ファクタリングの利用が当たり前になってしまい、抜け出せなくなるリスクもあります。ファクタリングは非常に便利な資金調達の手法ではありますが、銀行からの融資など様々ある資金調達の手段を検討した上で選ぶべきものです。
最初は債権の額面全体が支払われない
診療報酬、介護報酬、調剤報酬の場合、国保や社保に請求した金額の全額が支払われるわけではありません。その理由は、レセプトの内容を国保や社保で精査された際に、報酬額を削減されてしまう場合があるからです。ファクタリング会社から見ると、報酬債権の額面の全体が支払われるか否かが不明なため、リスク回避として「掛け目」を設定しています。この掛け目が80%ほどの場合は、最初にファクタリング会社から入金される金額が売却した報酬債権の80%になり、実際に国保や社保から支払いがあった後、80%分との差額があれば追加で入金されるというイメージです。つまり、掛け目が高い業者と契約した方が、最初の入金額が多くなります。
医療ファクタリング対応の事業者
ここからは、医療ファクタリングを提供しているファクタリング会社を紹介していきます。まずは、おすすめ3社の簡単な比較表から。
サービス名 | 買取手数料 | 最短入金スピード | 買取可能額 | 個人事業主 |
---|---|---|---|---|
ベストファクター | 2.0%~20.0% | 1時間 | 30万円~1億円 | ○ |
ビートレーディング | 2.0%~20.0% | 2時間 | 無制限 | ◯ |
アクセルファクター | 2.0%~20.0% | 2時間 | 無制限 | ◯ |
平均買取率が92.2%の「ベストファクター」
ファクリング業界で老舗の「ビートレーディング」
年間相談件数が3,000件の「アクセルファクター」
30万円から買取可能な「オンファクト」
最大1億円まで買取の「エスコム」
最短4時間スピード買取の「ファクターズ」
西日本の医療機関にオススメの「ファクタリングZERO」
審査通過率が95%の「K2ソリューションズ」
K2ソリューションズは、買取の金額は30万円~3,000万円と幅広く、契約方法は「電話・来店・出張」から選べます。審査通過率が95%という高さで、LINEやメールで気軽に相談もできます。10秒間で終わる、Webからの簡単見積もりも受け付けています。
手数料3.0%からの「アンカーカーディアン」
アンカーガーディアンのファクタリングは、2者間取引と3者間取引に対応しています(医療ファクタリングは3社間取引です)。手数料は3.0%からで即日入金に対応しており、買取価格の上限は5,000万円で、個人事業主も利用できます。