売上総利益とは、商品やサービスの販売から得られた付加価値のことです。ビジネス上の会話では、売上総利益を粗利(あらり)、粗利益(あらりえき)と呼びます。売上総利益(粗利、粗利益)の計算方法は簡単で、売上高から売上原価を差し引くだけです。今回の記事では、売上総利益(粗利、粗利益)の計算式などを簡単に紹介します。
売上総利益(粗利、粗利益)の計算方法
売上総利益(粗利、粗利益)の計算式は、以下のとおりです。
売上総利益(粗利、粗利益)=売上高-売上原価
売上原価とは、販売した商品やサービスの原価です。製品を製造するときの原価や、商品を仕入れたときの原価は、販売した時に初めて売上原価になります。売れるまでは、製造原価や仕入原価のままで、売上原価には計上されません。
売上総利益(粗利、粗利益)の意味
売上総利益(粗利、粗利益)とは、商品やサービスを販売したことで獲得できる付加価値のことを意味しています。そのことを把握するためには、上で紹介した数式の左辺と右辺を以下のようにも変えると理解の助けになると思います。
売上原価+売上総利益(粗利、粗利益)=売上高
つまり、販売した商品やサービスの売上原価に、売上総利益(粗利、粗利益)を上乗せしたのが売上高になります。その上乗せ部分が、まさに付加価値になるということです。
売上総利益率(粗利率、粗利益率)で競争力を測る
売上総利益(粗利、粗利益)は、付加価値を意味しています。そのため、売上総利益(粗利、粗利益)の割合でもって、その企の競争力が分かります。その時に使う指標が売上総利益率です。これも、粗利率や粗利益率といった呼び方もされます。計算方法は以下のとおりです。
売上総利益率(粗利率、粗利益率)=売上総利益(粗利、粗利益)÷売上高✕100
売上高に対する、売上総利益(粗利、粗利益)の割合を計算して、パーセントで表します。
売上総利益(粗利、粗利益)で分析してみよう
それでは、簡単な事例をもとに、売上総利益(粗利、粗利益)を計算して分析してみましょう。A社とB社という2つの会社が存在するとします。それぞれの会社の売上高は同じで1億円ですが、A社の売上原価は8千万円、B社は5千万円です。すると、計算結果は以下のようになります。
売上高 | 売上原価 | 売上総利益 (粗利、粗利益) | 売上総利益率 (粗利率、粗利益率) | |
A社 | 1億円 | 8千万円 | 2千万円 | 20% |
B社 | 1億円 | 5千万円 | 5千万円 | 50% |
A社の売上総利益率(粗利率、粗利益率)は20%、B社は50%という結果になりました。この数字で比較すると、競争力の面ではB社に軍配が上がります。
売上総利益(粗利、粗利益)で販管費をまかなう
売上総利益(粗利、粗利益)は、販売費及び一般管理費(いわゆる販管費)を支払うための原資になります。これも、営業利益の計算式を見ると簡単に理解できます。
営業利益=売上高-売上原価-販売費及び一般管理費
営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費
売上総利益(粗利、粗利益)を超える販管費を計上してしまうと、営業利益がマイナスになる営業損失となってしまい、本業で赤字を出すことになります。ちなみに、営業利益がプラスマイナスゼロになるときの売上を「損益分岐点」と呼びます。
営業利益、経常利益との違い
損益計算書には、売上総利益の他にも様々な利益が記載されています。それぞれの利益との違いについても説明します。まずは、損益分岐点に登場する利益について表にまとめました。
名前 | 意味 | 計算式 |
---|---|---|
売上総利益 | 商品やサービスを販売したときに得た付加価値 | 売上高-売上原価 |
営業利益 | 本業で得た利益 | 売上総利益-販売費及び一般管理費 |
経常利益 | 特別なことが起きなかった場合の会社の利益 | 営業利益+営業外収益-営業外費用 |
税引前当期純利益 | 特別なことが起きた場合も含めた会社の利益(法人税等を支払う前) | 経常利益+特別利益-特別損失 |
当期純利益 | 法人税等を支払った最終利益 | 税引前当期純利益-法人税等 |
営業利益は、本業で稼いだ利益です。付加価値である売上総利益から、人件費や家賃、広告宣伝費などの販管費を差し引いて計算します。経常利益は、平常どおりに経営した場合の利益のことで「けいつね」と呼ばれることもあります。平常どおりではない、何か特別なこと(災害時の損失、土地の売却で得た収益)を加味した利益は、税引前当期純利益です。そこから法人税等を差し引くと、当期純利益を計算できます。