売掛金とは何か~掛取引の仕訳、回収管理について~

ビジネス上の売買取引は、現金商売でないかぎり、掛取引になります。この掛取引がされた場合、販売した側は「売掛金」、仕入れた側は「買掛金」という勘定科目を使って会計処理します。今回は、売掛金とは何か、解説します。

目次

売掛金とは何か

売掛金とは、掛けで販売した際に使われる勘定科目です。現金取引であれば売買した時点で代金の支払いがなされますが、掛取引であれば取引の1ヶ月後、2ヶ月後といった将来の時点で支払いが約束されることになります。支払いが完了されるまで、または、支払いが完了されないことが明らかになるまで(貸倒れするまで)の間、売掛金という資産が計上されます。

売掛金の仕訳

売掛金の仕訳について紹介します。売掛金の勘定科目は、貸借対照表の流動資産に分類されます。流動資産とは、1年以内に現金化が見込まれる流動性の高い資産のことです。売掛金の仕訳では、販売したとき、売掛金を回収した時が主な内容ですが、不幸にも売掛金が回収不能になった場合の仕訳についても解説します。

①販売したとき(売掛金が発生したとき)

例)100万円で商品を販売し、代金は掛けとした。

借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
売掛金1,000,000円売上1,000,000円

借方に「売掛金」という資産が計上され、貸方に売上が計上されます。

②売掛金を回収したとき

例)売掛金100万円が普通預金の口座に入金された。

借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
普通預金1,000,000円売掛金1,000,000円

売掛金が回収されたことで、資産に計上されていた売掛金が貸方に計上されて減少し、代わりに借方に普通預金100万円、計上されて増えます。

③売掛金を回収できずに貸倒れしたとき

例)取引先が倒産し、売掛金100万円が回収できなくなった。

借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
貸倒損失1,000,000円売掛金1,000,000円

売掛金が回収不能になり、資産としての売掛金が存在しなくなるため貸方に計上し、費用の貸倒損失を借方に計上します。なお、どういった場合に貸倒処理が認められるのかは、国税庁のホームページを参照してみてください。

参考)No.5320 貸倒損失として処理できる場合|国税庁

売掛金は回収管理が大切

売掛金の回収を適切に管理することは非常に重要です。厳密に言えば、運転資金を把握して、滞りなく各種の支払いができるように経営するのが大切と言えます。

売上が急拡大しているときは要注意

売上が急増している場合、売掛金が増えるばかりではなく、仕入にかかる買掛金や在庫も増加するため、運転資本も大きくなります。運転資本が大きくなると、その間をつなぐ資金調達が必要です。しかし、売掛金の回収が遅れてしまうと、調達した資金で足りなくなってしまう危険性もあります。売上が好調なときこそ売掛金の回収に注力するようにしましょう。

事業が黒字でも倒産することがある

ビジネスでは利益も重視されますが、赤字でもすぐには破綻はしません。本当に倒産するのは現金が不足して支払ができなくなったときです(利益が出ていても倒産することを「黒字倒産」と呼びます)。そうならないように、売掛金を確実に回収すること、不足する運転資金を借入などで調達することが求められます。

売掛金の早期資金化が可能な「ファクタリング」

ビジネスが急拡大したときに資金が不足した場合、中小企業であれば金融機関からの融資を検討するのが一般的です。

しかし、融資の額に対して信用枠が足りなかったり、赤字決算だったりしたために、銀行からの借入が困難な場合もあります。こういった時に活用できる資金調達の手法に「ファクタリング」があるのをご存知でしょうか。

ファクタリングを利用すれば、売掛金の支払期日よりも前に現金化が可能です。ただし、割引手形のように手数料などを差し引かれますので、複数のファクタリング会社で相見積もりをとって、取引する会社を選びましょう。

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