黒字倒産とは何か?~起きてしまう理由と回避する方法を解説~

黒字倒産とは?~起きる理由と回避する方法~

黒字倒産とは、利益が出ていても現金が不足して倒産してしまうことです。赤字であれば倒産するイメージがあるとは思いますが、そうとは限りません。赤字でもすぐには倒産しませんし、黒字でも倒産することがあります。今回は、黒字倒産が起きてしまう原因、黒字倒産を防ぐ方法について解説します。

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倒産には法的な定義がない

東京商工リサーチの調査によると、2021年の全国企業倒産は、その件数が6,030件でした。倒産とは、端的に言うと、必要な現金が足りずに支払いができなくなり、経営を続けられなくなる状態です。この「現金」に原因があるというのがポイントで、倒産の定義の中に「利益」「黒字」「赤字」といった言葉は出てきません。ちなみに、倒産には法的な定義がありません。似た言葉の「破産」には明確な定義があり、企業を清算するための法的整理の1つの手段です。

赤字でも倒産しない理由

事業が赤字であっても倒産するとは限りません。赤字であっても、支払いに必要な現金さえあれば倒産しないのです。※一時的な赤字で、すぐに倒産するわけではないという意味です。赤字が続けばキャッシュフローが悪化してしまい、最終的には倒産する可能性があります。

黒字倒産してしまう理由

一方、黒字であっても倒産してしまう場合があります。その理由は、黒字でも手元の資金がショートする場合があるからです。

簡単に、黒字倒産の事例をシミュレーションしてみましょう。あなたが資本金100万円で起業したとします。商品を100万円分だけ仕入れて、すぐに200万円で売れました。いずれも掛取引で、売掛金の支払日が当月末で、売掛金の回収日が翌月末だとします。この場合、支払いが先に来ますが、手元に現金がなく、支払いができません。仕入の支払い分の資金調達ができなければ倒産してしまいますが、損益計算書で見ると100万円の黒字(売上200万円-仕入100万円)になっています。

黒字倒産を仕訳で理解する

上記のシミュレーションで説明した内容を、実際に仕訳を通じて理解したい方は、以下の内容を読んでみてください。※理解しやすいように単純化して説明しています

①資本金100万円で起業したときの仕訳

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
普通預金 1,000,000円 資本金 1,000,000円

資産に普通預金、純資産に資本金を計上します。

②商品100万円を掛けで仕入れたときの仕訳

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
仕入 1,000,000円 買掛金 1,000,000円

費用に仕入、負債に買掛金を計上します。買掛金とは、仕入代金を後払いにしたときに使う勘定科目です。仕入先から見ると売掛金です。

③仕入れた商品を200万円で掛けで販売したときの仕訳

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
売掛金 2,000,000円 売上 2,000,000円

資産に売掛金、収益に売上を計上します。

この時点の損益計算書と貸借対照表(試算表)

▼損益計算書
借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
仕入 1,000,000円 売上 2,000,000円
利益 1,000,000円
▼貸借対照表
借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
売掛金 2,000,000円 買掛金 1,000,000円
資本金 1,000,000円

この状態で仕入の支払日が来ても、貸借対照表に現金がないため支払えません。しかし、損益計算書では利益が出ています。

黒字倒産を防ぐためには

黒字倒産を防止するには、日頃から現金の収支を把握することが大切です。その際に役に立つのがキャッシュフロー計算書や資金繰り帳票で、それらの資料を見ながら先行きを予測します。

予測した結果として、運転資金の調達が必要になるタイミングが分かります。中小企業や個人事業主の方の場合、調達手段として一般的なのは金融機関から融資でしょう。銀行やノンバンク等に相談して、借入が可能かどうか確認してみてください。

また、財務の健全性も日頃から確認したいポイントです。実際のお金の動きではありませんが、財務が不健全であれば現金が足りなくなり、黒字倒産の可能性も高くなります。健全性には短期と中長期での分析があり、短期なら流動比率や当座比率、手元流動性比率などの指標が、中長期なら自己資本比率や負債比率、固定比率や固定長期適合率などの経営指標が便利です。まずは短期の安全性分析の指標を確認して問題があれば改善しましょう。

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