流動比率とは、短期的な安全性(財務の健全性)を測るための経営指標です。流動比率の数値は、貸借対照表の流動資産を流動比率で割って100をかけると計算できます。似たような経営指標に「当座比率」がありますので、今回は流動比率と当座比率について解説します。
流動比率とは
流動比率は、短期の財務健全性を測るための経営指標です。財務の健全性とは企業の安全性のことで、健全性が著しく低い場合は、倒産のリスクが高いと考えられます。
流動比率の計算式
流動比率の計算式は、以下のとおりです。
流動比率(%)=流動比率÷流動負債✕100
流動資産と流動負債とは
流動資産とは、貸借対照表の資産の部のなかで、1年以内に現金化できる流動性が高い資産のことを言います。流動性は、換金性と考えて問題ありません。流動資産に含まれるのは、現預金、売掛金、受取手形、有価証券、棚卸資産(商品や原材料など)などです。
もう一方の流動負債は、貸借対照表の負債の部のなかで、1年以内に返済期限が到来する負債のことを指します。流動負債には、買掛金、支払手形、未払金、前受金、預り金、仮受金、短期借入金などが含まれます。
流動比率の目安
流動比率の目安は、120%以上であれば健全とされます。ただし、業種業態によってその基準が異なりますので、120%を下回ったからと言って不健全なわけではありません。一般的には、流動比率が100%を下回っていると、短期的な資金繰りに困る可能性が高いとされます。ちなみに、負債の部が資産の部を上回ると、債務超過になります。
当座比率とは~流動比率との違い
当座比率は、流動比率と同じく短期的な支払能力を測るための経営指標です。流動比率との違いは、計算式の分子が当座資産である点です。当座比率は、流動比率よりも厳密に短期的な安全性を分析できる指標になっています。
当座比率の計算式
当座比率の計算式は、当座資産÷流動負債✕100(%)です。
当座資産とは
当座資産とは、流動資産から棚卸資産を差し引いた資産のことです。棚卸資産は、売掛金などと比べると換金性が低いため、流動比率より厳密に短期健全性を測るための当座比率では、分子に当座資産を用います。
当座比率の目安
当座比率の目安も、流動比率と同様に業種などにより異なります。一般的には90%以上が望ましいとされ、70%を下回ると不安視されます。
流動比率と当座比率の改善方法
流動比率と当座比率の計算式からも分かるとおり、流動比率に問題がある場合には「流動負債を減らす」か「流動資産または当座資産を増やす」という方法で改善できます。後者については、固定資産として保有している遊休資産(事業用に稼働していない資産)を売却して現金化する方法が考えられます。固定資産には、土地や建物などの不動産、設備、営業権や商標権などが含まれます。
まとめ
今回は、短期の財務健全性(支払能力)の経営指標である流動比率と当座比率について解説しました。より厳密に目の前の支払が可能かどうかを確認できる指標には「手元流動性比率」があります。以下の記事で解説していますので、ぜひ読んでみてください。