DES(デッドエクイティスワップ)とは、企業再建の手法の一つです。DESは債務の資本化とも呼ばれます。DESは、言葉のとおりDebt(負債)とEquity(資本)をSwap(交換)する仕組みです。債務超過に陥った企業の財務を健全化するために、負債を減らして資本を増やします。
DES(デッドエクイティスワップ)の3つのポイント
- DESは、債務超過の企業を立て直すための手法の一つ。
- DESは、債務の資本化(株式化)とも呼ばれ、既存の債権者に株主になってもらう。
- DESのデメリットは会社の支配権を他人に渡すこと。
DES(デッドエクイティスワップ) の手法
DESの手法は大きく分けて2種類あります。
- 既存の債務を資本に変える
- 新たに資本で調達して債務を弁済する
それぞれ以下で詳しく解説します。
既存の債務を資本に変える
DESでは、既存の債務を資本金に振り替える手法があります。借入金を資本金と交換するようなイメージです。
新たに資本で調達して債務を弁済する
DESのもう一つの方法に、既存の債務者から新たに出資してもらい、そこで調達した資金で債務を返済する方法です。
たとえば、以下のように債務超過の企業が、債権者から500万円を金銭出資してもらい、その資金で債務を弁済したとします。
出資してもらった500万円が資本金になり、その500万円で借入金を返済したため、上記のように債務超過の状態を解消できました。ちなみに、既存の借入金500万円を資本金に振り替えても、同じ結果になります。
DES(デッドエクイティスワップ) のメリット
元本の返済と利息の支払義務のある負債が、そういった義務のない資本になることで、資金繰りの懸念が少なくなります。債務超過額によっては、債務超過を解消できる場合もあります。
DES(デッドエクイティスワップ) のデメリット
一見すると便利なDESですが、デメリットもあります。
支配権を渡すことになる
DESでは、負債が減少する代わりに資本金が増えます。つまり、債権者が減って株主が増えるわけです。となると、その株主に対して会社の支配権を与えることになります。支配権とは、株主総会での議決権を意味します。仮に議決権の過半数を既存の債権者に渡した場合、役員の解任決議で既存役員が追い出されるリスクがあります。
株主総会の議決権がない代わりに優先的に配当を出すような、種類株式を発行する方法もあります。ただし、交渉で債務者は不利になることが多いため、その条件で債権者が説得するのは難しいでしょう。くわしくは、税理士などの専門家に相談してみてください。
債権者が引き受けてくれない可能性が高い
そもそもの話になってしまいますが、DES活用のメリットが大きいのは債務者側です。債権者側からすれば、あまりメリットがありません。元の債権であれば、元本が戻ってきて利息も受け取れます(負債は元本の返済と利息の支払いが義務だから)。一方の出資の場合は、金銭的なメリットを享受できるのが、売却益と配当という確実性の低いものだからです(資本金には返済義務も配当支払いの義務もないから)。
DES(デッドエクイティスワップ)まとめ
今回は、DES(デッドエクイティスワップ)について紹介しました。債務超過になると新規での借入ができなくなるなど経営に大きな支障が出ます。可能であればDESを活用して早期に解消しましょう。