財務レバレッジとは~他人資本を梃子にしている度合い~

財務レバレッジとは、企業の自己資本(純資産)が、どれだけの総資本(総資産)を生み出しているのかを表す経営指標です。レバレッジは英語で「梃子(てこ)」を意味する言葉で、財務レバレッジは、企業が他人資本(負債)を梃子にして、いかに資本を作り出しているかの度合いを表す指標ということになります。今回は、財務レバレッジの意味と計算式について解説します。

目次

財務レバレッジの3つのポイント

  • 財務レバレッジは、企業が他人資本を梃子にして事業の成長を図っている度合いのこと
  • 財務レバレッジの計算式は、総資本÷自己資本で、自己資本比率の逆数になっている
  • 財務レバレッジが高くなりすぎると、企業の財務上の安全性に支障が出る可能性がある

財務レバレッジの計算式

財務レバレッジの計算方法は以下のとおりです。

財務レバレッジ(倍)=総資本÷自己資本(純資産)

貸借対照表の総資本を自己資本で割ると算出できます。

自己資本比率との関係

財務レバレッジの計算式を見てお気づきの方もいると思いますが、財務レバレッジは「自己資本比率」の逆数になっています。参考までに、自己資本比率の計算式も紹介します。

自己資本比率(%)=自己資本(純資産)÷総資本✕100

自己資本比率が高くなると財務レバレッジは低くなる、という関係になっています。

負債比率との関係

負債比率とは、企業の中長期的な安全性を測るための経営指標の1つです。自己資本に対する負債の割合を示しており、その計算式は、負債÷自己資本✕100です。つまり、負債比率が増加すると財務レバレッジも大きくなるという比例の関係にあります。

財務レバレッジの目安

財務レバレッジの基準は、企業規模や業種、会社の成長度合いなどによって異なります。あえて一般論的に「◯倍」であれば問題ないと説明するのであれば、自己資本比率の目安の逆数で考えてみても良いと思います。中小企業の自己資本比率は、一般的に20%~30%であれば心配ないと言われています。となると、中小企業の財務レバレッジの基準は3倍~5倍ほどになると言えるでしょう。

財務レバレッジが高いことの意味

財務レバレッジが高いということは、総資本に占める自己資本の割合が小さく、他人資本(負債)の割合が大きいということです。つまり、他人資本という梃子(てこ)の大きさを意味していることになります。仮に、総資本が全く同じ会社が2つあったすると、株主にとって魅力があるのは財務レバレッジが高い方の会社です。なぜなら、企業が他人資本を活用してビジネスを成長させて総資本が大きくなれば、株主の受け取り分が大きくなるからです。

財務レバレッジが高すぎると安全性に懸念

財務レバレッジは自己資本比率の逆数ですから、財務レバレッジが高くなりすぎる(=自己資本比率が低くなりすぎる)と財務の健全性が損なわれてしまい、倒産リスクが高まってしまうデメリットもあります。簡単に言ってしまうと、財務レバレッジはバランスが大切だということです。その感覚こそが、企業経営に求められる素質の1つでしょう。

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