固定比率とは~意味と計算式、固定長期適合率との違いについて解説

固定比率とは、企業が長期間に渡って稼働させる固定資産の調達に、返済義務のない自己資本をどれだけ利用しているかを表す指標です。固定比率は、企業の中長期的な安全性、支払能力を分析するための経営指標として用いられます。近しい指標に「固定長期適合率」もありますので、固定比率との違いも解説します。

目次

固定比率の3つのポイント

  • 固定比率は、返済義務のない自己資本で、固定資産を調達できている度合いを示す指標である。
  • 固定比率の計算式は、固定資産÷自己資本✕100。
  • 固定費率が100%を上回る場合は、あわせて固定長期適合率も分析して、中長期的な支払能力について分析する。

固定比率を計算する方法

固定比率の計算式は以下のとおりです。計算式のとおり、固定比率は、自己資本に対する固定資産の割合を示しています。

固定比率(%)=固定資産÷自己資本✕100

※自己資本:貸借対照表の純資産のこと。資本金や利益剰余金などが含まれる。他人資本(負債)と違って返済義務がない。
※固定資産:貸借対照表の資産の部のうち、流動資産や繰延資産を除外した資産。取得から1年以上にわたって使用する資産で、土地や建物、工場の設備などが含まれる。

固定比率から分かること

繰り返しますが、企業の固定比率を分析して分かることは、長期的な健全性の有無です。固定資産は通常、長期間に渡って使用されます。機械などであれば耐用年数もありますが、数十年間も使用する固定資産もあるほどです。そのため、固定資産を取得するための資金調達は、可能なかぎり自己資本に頼ることが望ましいとされています。

固定比率の目安は100%

固定比率がどれほどであれば、会社の長期的な安全性に支障がないと言えるのでしょうか。その1つの基準が100%を下回るか否かです。固定比率が100%未満ということは、固定資産よりも自己資本の方が大きい、つまりは、自己資本ですべての固定資産を調達できているということになります。その場合、長期的な健全性には懸念がないとも判断できます。しかし、現実的には、固定比率は100%を上回る企業が大多数です。そのときに使うのが「固定長期適合率」です。

固定長期適合率とは何か

固定長期適合率は、固定資産を購入するための資金を、固定負債と自己資本で調達できている割合を示す経営指標です。

固定比率との違い

固定比率は、自己資本だけで固定資産を賄えているかを表す指標です。一方の固定長期適合率は、自己資本に固定負債を加えた資金で、固定資産を調達できているかを示す経営指標になっています。

固定長期適合率の計算式

固定長期適合率の計算式は以下のとおりです。

固定長期適合率(%)=固定資産÷(固定負債+自己資本)✕100

※固定負債:返済期限が1年を超える負債。代表的なのは長期借入金、社債、退職給付引当金など。反対に、返済期間が1年以下の負債を「流動負債」と呼ぶ。

固定長期適合率の目安

固定長期適合率の目安は、100%以下かどうかです。100%以下であれば、返済義務のない自己資本と返済期間が長期間の固定負債で、固定資産をまかなえていることになります。固定長期適合率が100%を超える場合、短期的な資金で固定資産を取得していることになってしまうため、健全性が損なわれている可能性があります。

まとめ

今回は、固定比率と固定長期適合率について解説しました。いずれも固定資産の調達資金が、長期資金であるか否かを表す指標です。それぞれの違いについて理解して使い分けるようにしましょう。また、2つの経営指標と同様に、中長期的な財務の安全性、支払能力を測るための指標は他にもあります。それらの指標も確認してみてください。

目次
閉じる